ドンペイのコラムでござる

[2025年04月号] 俳優 ドンペイのコラムでござる

ここ数年 時代劇にスポットが当たっている
僕も出演した「 室町無頼 」 は
予算も含め 最近では珍しい
超大作映画だったし
現代劇を撮っていた新進気鋭の監督が
時代ものを撮ったり
そして 近々では 何と言っても
日本アカデミー 作品賞を取った
「 侍タイムスリッパー 」 だろう
時代劇をこよなく愛する監督が
自主映画の枠組みで 撮った作品
話題が話題を呼んで
ここまで上り詰めるとは …
感服でござる!の ひと言だ

京都撮影所の大部屋俳優を中心に
物語が進む この作品を観て
僕自身 上京する 30年程前まで
この映画で 描かれているような
大部屋俳優として 日々 仕出し(エキストラ)で
生活費を稼ぎながら
本物の俳優になれるチャンスを探していた
若き頃を思い出し とても懐かしかった
仕出しの 仕事はカメラを向けられ
顔が 映るとか 一切なく
主人公の後ろを荷車を引きながら歩いたり
大工が 道具箱を肩に担ぎ 駆け足で
通り抜けたり
行商の荷物を背中に担ぎ 行商人として
フレームの 端の方を歩いたりと
作品の 味付けをするために
日々 画面を埋めていた

前日の夕方に 明日の予定が出る
朝から 行商人 や カゴ屋 をやり
夜は 御用提灯 を両手に持って
御用だ 御用だ!と犯人を追い詰めたり
( 本来の御用提灯は1人ひとつだが
暗くて後ろの方は 姿も映ってないので
架空人数を増やす為に2本ずつ持った ) 笑笑
カツラを被り 着物を着て 現場に出れば
その頃 僕の手当は日当 6500円だった
その他、色んな手当が 細かくあった
例えば 雨降らしの場面を歩けば
水濡れ手当 300円 だったり
同じ 水濡れでも 立ち回りで 斬られて
池や川に飛び込んだりすれば
手当は 500円 になったりと
面白いくらい 色んな手当があって
日当を少しでも増やすために
自分から雨降らしのシーンに
行商人の 俺 出ます!とか言っていた (笑)

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の
京都編では 撮影所が舞台となり
時代劇の撮影裏側を少し描いたりしていた
撮影所の 轟 監督として僕も出演していたが
とても懐かしく 昔とオーバーラップして
胸が熱くなることもあった

映画 蒲田行進曲を筆頭に
撮影所を描いた作品で
まだまだ描かれていない
面白い話が たくさんある
そんなことを いずれ1冊の本に
纏めようと思っている

最近の 時代劇ブームは嬉しいが
ブームが すぐに過ぎ去らないよう
関係者は真剣に考える時期だと思う

むか~し むかし
日本のハリウッドと言われた京都 太秦
撮影所の火が 途絶えないことを
心から願っている

京都撮影所で 仕出し(エキストラ)
をはじめ
色んなことを経験した おかげで
今の自分がある!と 思っている

時代劇よ 永遠に

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