ドンペイのコラムでござる

[2023年11月号] 俳優 土平ドンペイのコラムでござる

この 3年、秋になると偶然ではあるが
東映京都撮影所で撮影をする作品が続いている
「カムカムエヴリバディ」、「探偵ロマンス」
そして、現在 撮影中の映画だ
テレビドラマや映画に限らず
この東映京都撮影所は
映像界のレジェンド的な撮影所で
昔、京都 太秦が
日本のハリウッドと言われていた頃から
数々の名作を世に送り出した代表的な撮影所だった
なので、ここで仕事をする時は
普段と違った緊張感が生まれる

実は、今から約40年前
土平ドンペイが 俳優活動をスタートしたのも
この 東映京都撮影所だったのです
その頃の撮影所は活気に満ち溢れ
数々の 大作映画やテレビの人気時代劇などの
撮影が行われていた
まだまだ素人同然だった僕は
撮影所で出会うスターさんや
華やかな女優さんを見て
目をキラキラさせながら
昨日は ○○さん、今日は ○○さん
などと
撮影所で会った人の名前をノートに記していた (笑)

その頃、僕の仕事と言えば
もちろんエキストラしかなかった
ただ 京都では東京で言う エキストラのことを
仕出しと呼び、現場に行く準備(衣装の着付け)や
(チョンマゲかつらをかぶる前の羽二重装着など)
全て自分でできないと仕出しにはなれなかった
なので、エキストラと言えども
技術や工夫が必要とされる
レベルの高いエキストラだ
そのような人たちを大部屋俳優と呼んだ
大部屋俳優は相当な人数が居たので
仕出しの仕事も回ってこないこともあった
そんな時は、東映太秦映画村で
時代劇の衣装を着て
映画村の奉行所だったり 日本橋だったりで
観光客のお客さまと一緒に記念写真を撮る仕事
扮装バイト(略して 扮バイ)をしていた
(呼び名にバイトとあるが 歴とした大部屋俳優の仕事)
その頃の太秦映画村は大人気で
休みの日や行楽シーズンの扮バイは
休憩や食事も取れないくらいの忙しさだった
1日に何百という写真を撮り続けていると
自分は俳優として人気者になったのだと
勘違いしてしまいそうなこともあった (笑)
しかし、ある時 気づいた
個人のカメラ( 写ルンです など)は たくさんあるが
どこを見渡してもテレビや 映画の
撮影カメラがない!
これでは何のチャンスも転がっていない … と
その後、悪戦苦闘 しながらも
東京へのチャンスを掴み
上京することになる

そんな思い出深い 太秦映画村
いま撮影中の大作時代劇は
この映画村の新たな巨大セットでも
撮影することがある
その時は撮影開始より早めに映画村へ行き
グルっと ひとまわりしている
昔の光景が鮮明に思い出され
初心に戻ることができる

東京に出て俳優になる! なーんて
夢でしかない … と思っていたことが
約40年経った 現在
叶っていることに 感慨深くなる

諦めずにコツコツ精進していると
不思議と夢は叶うんですね

なんかカッコよく終わりそうなので
最後にひと言!
もう1度 20代後半にやむなく戻るなら
色々と辛さが多すぎるので
俳優への道は選ばないと思います(笑)

これからも与えられた人生を
悔いなく一生懸命に生きて行きます!

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